会長挨拶

第27回日本婦人科がん検診学会総会の開催にあたって

会長 鈴木 和浩

第27回日本婦人科がん検診学会総会・学術講演会
会長  梁 善 光
帝京大学ちば総合医療センター 副院長・産婦人科教授

このたび2018年9月8日(土)〜9日(日)に第27回日本婦人科がん検診学会学術集会を開催させていただくことになりました。

伝統ある本学会の会長を拝命し大変光栄に感じていますが、その一方で、その重責に身の引き締まる思いをひしひしと実感しています。

さて、今回の大会テーマは基本に立ち返って「婦人科検診受検率の向上のために... 新しいグランドデザインを考える」といたしました。

厚生労働省が2007年6月に策定し、2012年に見直しがされた「がん対策推進基本計画」において、個別目標のひとつとして平成28年までに子宮頸がん検診の受検率を50%以上とすることが掲げられました。実際のところ多少の成果はあり、策定後の10年経過した現在の子宮頸がん検診・乳がん検診の受検率は上昇しました。しかし、それでも30〜40%にすぎず目標には残念ながら届いておりません。欧米あるいはお隣の韓国などは軒並み70%あるいはそれ以上であるのに比べると、先進国の一つとして恥ずかしいかぎりの数字です。

現行の子宮頸がん検診には、集団検診(行政検診・職域検診)と個人(任意)検診があります。受検率を上昇させるためには、このうち集団検診を充実させる必要があります。しかしながら、これらのどの種類の検診がどの程度実施されているのか、必ずしもデータが十分に把握されていないため、実効性のある対策が練られていないのが現状ではないかと思います。この現状を打開するために、何をどうする必要があるのか、その戦略変更を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

もちろんそれ以外にも最新の婦人科がん検診のトピックスをできる限り提供して、充実した内容の講演を取り揃えてまいりたいと考えています。

また、今年は婦人科がん検診を行っていくうえで重要なパートナーともいえる細胞診断士の皆さんにも数多く出席していただけるよう細胞診検査士対象のセッションも予定しています。

さらに、これは新しい試みになりますが、日本人間ドック学会理事でもある佐々木寛本学会理事長のたっての念願である「子宮頸部細胞採取の手引き」の発行へと向けて準備が進んでおり、編集委員会・著者とのコンセンサスミーティングも開催予定です。

会場は私どもの大学本部のある帝京大学板橋キャンパスを準備させていただきました。帝京大学は、医学部付属病院が2009年に新病院に改築・移転し、その3年後の2012年には従来から板橋にあった医学部・医療技術学部に加えて薬学部を移転させて医療系3学部をここ板橋新キャンパスに集結させて最新医療に対応できる体制を整えました。他大学の先生方には、なかなか本大学にまで足を運んでいただける機会はありませんので、ぜひともこの誇るべき美しいキャンパスをご覧いただきたいと思っています。

本学会の成功のために、数多くの婦人科がん検診に関連する医師のみなさん、細胞診検査士のみなさんのご来場をお待ち申し上げるとともに、活発な議論・討論を期待しています。